コラム

萩原印刷メルマガ

電子書籍に最適なDTPデータの制作(2015年9月30日)

クロスメディア部

◎ コラム ◎ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
電子書籍に最適なDTPデータの制作
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Yahoo! Japanは、Yahoo!検索へのSSL(HTTPS)導入を発表し、
最近では、紙書籍と電子書籍を同時に発売・配信する
「サイマル出版」が増えてきました。

萩原印刷クロスメディア部で制作を請け負う電子書籍案件でも、
約6~7割がサイマル対応の案件になってきました。

サイマル出版では、紙書籍の校了後、
すみやかに電子書籍のデータ制作を行わなければならないため、
当社のように紙書籍の制作もでき、
さらに電子書籍制作もできる印刷会社への需要が高まっているようです。

電子書籍の制作工程では短時間での作業が求められますが、
元となるDTPデータの良し悪しによって、作業効率が大幅に変わってきます。

そこで今回は、実際に当社での電子書籍制作時に遭遇した
「これはやめて欲しい!」
という3項目を発表することにします。

ぜひ、今後のDTPデータ(InDesign)制作にお役立てください。


1.段落行頭の字下げ、どうしてますか?

○:全角下げは全角スペース、行頭約物の場合にはスペースを入れずに
  文字組みアキ量設定で調整する。
  さらにどちらも同じ「本文」(段落スタイル)に設定しておけば完璧!

×:全角下げが段落スタイルのインデントになっている。
  さらに行頭約物の段落に別の段落スタイルを設定している。

【解説】
EPUB制作時には全角字下げは全角スペースとするのがよい方法です。
Pタグにclassを指定して、CSSで字下げをするのはおすすめできません。

また、段落行頭が約物の場合も同じで、class指定は行いませんので、
InDesign側でわざわざ段落スタイルを分ける必要はありません。

もし行頭字下げを段落スタイルのインデントで設定してあるInDesignデータと
遭遇した場合、該当する数百もの行の先頭に全角スペースを挿入するという
恐るべき作業が発生します。

万全の注意を払って行うとしても、
ちょっと危険ですよね…(できればやりたくない!)

全角下げも行頭約物も「本文」という段落スタイルに設定できます。
できるだけシンプルなデータ制作を心がけましょう。


2.段落スタイル、文字スタイルは、変換時の手がかり!

○:電子書籍に変換するとき、class指定が必要な要素(見出し、字下げ、
  突き出しインデント、ゴシック、太字、傍点など)が、
  段落スタイル、文字スタイルに反映されている。

×:段落スタイル、文字スタイルがほとんどなく、オーバーライドばかり…

×:段落スタイル、文字スタイルが多すぎる。
  さらにはスタイル名がわかりにくい…

【解説】
段落スタイル、文字スタイルはInDesignからEPUBを制作する際に、
とても重要な手がかりとなります。

InDesignで使用されている段落スタイル、文字スタイルを
EPUB(XHTML)のPタグやspanタグのclass指定に反映させて
変換するのが、もっともポピュラーなEPUB制作方法です。

したがって、オーバーライド(上書き)だらけのInDesignデータや、
必要以上にスタイルを設定しているデータの場合、
すぐにEPUB制作に入れず、InDesignデータの解析作業からスタートします。

電子書籍では構造的なデータ(XHTML)制作が求められますので、
InDesignでのデータ制作時にもそれを意識することが望まれます。


3.そのインラインデータ、本当に必要ですか?

○:数式や囲み罫線など、本当に必要最小限のものだけを
  インラインデータとして配置。

×:インラインでなくても表現できる「行取り見出し」などを、
  わざわざインラインデータとして配置している。

【解説】
たとえば「3行取りのゴシックの見出し」なのに、
わざわざインラインボックスをすべての見出しに配置している…。

これって、段落スタイルの機能で補えますよね?

インラインデータは、かなり厄介です。

なぜなら、インラインデータの処理は、
InDesign上で手動で再レイアウトを施したあとに、
EPUBを制作するケースがほとんどだからです。

人がコツコツと行う作業になりますので、
単純に時間がかかることに加えて、ミスの発生原因にもなりかねません。

インラインデータは、本当に必要なときにだけ使いましょう!


以上、今日からでも実践できる3つのポイントをご紹介しました。

電子書籍制作に関わる方は、ぜひお試しください。

何かわからないことがありましたら、
当社営業スタッフまでお気軽にお声がけください。


萩原印刷株式会社 クロスメディア部
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