コラム
周りを照らす人
総務部
車椅子を家族が使うことがあり、さまざまな気付きがありました。
平らな滑りのよいマンションの廊下でさえも、車椅子と本人の体重を含めた重さを推し進めるためには、それなりの力がいるわけです。ちょっとした傾斜でもかなりの荷重となることに驚きました。歩道に出れば、オーバーでなく、山あり谷あり!スピードを出している自転車などは恐ろしいです。今まで車椅子の方を見かけると大変そうとは思っていましたが、後ろから押しているだけでも、驚きの連続です。
病院に行くためにタクシーを何回か使いましたが、タクシー会社によって教育の徹底の違いを感じました。乗車拒否をされた時は本当にがっかりしました。最初、止まってくれましたが、車椅子と分かると、トランクに入らないので無理ですと断られました。車椅子の人はお客さんじゃないのです!次に止まってくれた運転手さんは、丁寧に車椅子をたたんでトランクに入れてくださいました。先ほど拒否されたことをお話しすると、救急対応やハンディのあるお客さまへの対応教育を受けているそうです。
その運転手さんは昨年お母様をなくされたそうですが、亡くなる前に車椅子のお母様の病院の送り迎えを長い間されていたそうです。ご自身の車での送迎はやはり大変で、タクシーを使われたとのことです。教育のしっかりしているタクシー会社を選んでいたそうです。
また、たまたま歩行中に交通事故を目撃した時のお話もしてくださいました。オートバイから投げ出された負傷者は頭からの出血があり、すぐにハンカチを当てて止血処置をしていたところ、偶然医師が通りがかり協力し、その方が助かったというお話まできくことが出来ました。初期対応がよかったということで、消防署から表彰されたということでした。この方のお話は決して自慢話ではなく、仕事や人生に真摯に向き合っている姿が、物腰に表れているなあと感じました。乗車拒否という弱者に対する思いやりのない対応のあとに、出会った運転手さんのすばらしい人格に触れ、心が温かくなりました。一人の存在が周りの人を照らすとはこのことですね。